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私の読書日記

読んだ本や本に関する日記

ガソリン生活

 擬人化が好きだ。一時期流行した、「艦これ」や「刀剣乱舞」という類は元ネタの戦艦・刀剣が分からないから興味が持てなかったが、文豪ストレイドッグスのように亡くなった文豪を題材にわんちゃかされるとテンションが上がる。好きな文豪がどんな能力を有しているのか、どれだけ強いのか…宮沢賢治が好きだったので、あの朴訥としている感じが最高だった。まぁ、途中で読むのやめてしまいましたが。

 

伊坂幸太郎作『ガソリン生活』は現実に登場する車が喋る。というより、車が語り部で車の視点で物語が進む。カローラデミオアルファロメオ・タンクローリーヴィッツヴォクシーフェアレディZプリウスetc色々知っている車盛りだくさん。名女優の謎の死や生意気な天才少年、亨(とおる)のいじめなど、メインストーリーとあらゆる伏線が絡み回収されていく伊坂ワールドは今作でも十分な魅力なのですが、それ以上に私を引き付けたのは、車がみんな喋ること。かわいいの。車が喋るってかわいくないですか?喋ってると思うと、キュンキュンしてしまうのです。それこそ、ギアを六速に入れたくなるくらいのハイな気分に!

 

おそらく私のこの性志向は、トーマスからくる性志向だと思うのです。私、トーマス昔から好きなんですけど、彼ら汽車なのに話すじゃないですか?しかもかわいいし、個性的。愛くるしい。それを今作に感じたんですね。リアルの車が話してるとなると、もう悶絶。かわいいじゃない。伊坂さんって電車好きなんですかね?今作では電車が尊敬の対象だし、別の作品ではトーマス出てくるし。

 

なんでも結構ですが、今作読んで車がほしいな~と感じたので、若者の車離れ抑止に一役買いそうな気がします。私、若くないですけど。

 

ガソリン生活 (朝日文庫)

ガソリン生活 (朝日文庫)

 

 

夜のピクニック

 

 小学生のころ、祖父母の家に遊びに行くのが好きだった。夜に祖父と母と妹と私で散歩に行くことがその理由だ。散歩をしながらしりとりをしたり、その場で思いついた話をしたり、他愛のない話をたくさんした。祖父の家は田舎だからか、夜の星々は輝いて、空気も澄んでいて気持ちがよかった。心が洗われる感じとはこういうことかも。と、幼いながらもその時感じていた。

 

恩田陸さんの『夜のピクニック』を読んだ。10代に読んでいたらきっと宝物になったであろう、素敵な青春小説だった。この歳になって読むと多少の気恥ずかしさは感じるけど、高校生の頃の甘酸っぱい感じを少し懐かしく思えた。この物語の主人公たちは、年に一度行われる『歩行祭』という集団歩行(夜間込みの一日)の場で、一人一人の心情が変化していく。それをもたらすのは、夜という時間に生徒がまだ一緒にいるという特殊性と、同じ目標に向かって歩くという同一性からかもしれない。もしかしたら、歩くという運動がそれに拍車をかけているのかもしれない。

 

今まで謎だった部分や、各々が気にしていた他者の思いを知るときに、それぞれの感情に変化が訪れる。そんな瞬間をこの本ではいくつも体験できた。読んでいて、いいな。もっと続けばいいのにな。そう思わず感じてしまった。

 

私にはこうした語らいのできる人はいないけど。今からでも遅くはないのかもしれないな。たまには夜に散歩でもして帰ろ。

 

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

 

 

土の中の子供

 

 中村文則著『土の中の子供』を読みました。芥川賞受賞作。

 

タクシードライバーで生計を立てている27歳の青年。この青年には恐怖に自分から身を投じるという一種の癖のようなものがあった。そうなってしまった一つの原因として、青年の幼き日における虐待や過酷な日々が、青年に影響を与えていた。というお話。ここに、一人の女性とのやり取りも絡み、青年の心に影響を与えていくわけなんです。

 

別のサイトでこの本の他の人の感想とかを見ると、暗いけれども微かな希望に涙した。とか、文体が独特で惹きつけられる。とか、とにかく暗いけどただ暗くないという意見が多いように感じられました。それはそれでいいんです。私はこの本の感想ってうまく書けないんです。強いて言うなら、中村さんの本全般的に上手く感想が書けない。

 

私はこの本の主人公が持っている一種の破滅的な趣向を私も持っていると思う。ただ、理性だったり自分の家庭だったり、外部因子に大分助けられて今まで生きている気がしていて、もしどこかでこの歯車が狂っていたら、こうしてPCで感想を綴っていることはないと思う。10代くらいに命を落としていたように思える。そんな自分に似たような匂いを、この本からは感じ取ってしまって、他人事とは思えなくてうまいこと書くことができなんいんだと思う。

 

だからなのか、人にこの本を勧めると自分の内面をのぞきこまれる気がして、この本を勧めることができない。良いとも悪いとも言えない。自分の内臓奥深くにしまっておきたい。それくらい私にとっては特別な本です。

 

土の中の子供 (新潮文庫)

土の中の子供 (新潮文庫)