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私の読書日記

読んだ本や本に関する日記

夜のピクニック

 

 小学生のころ、祖父母の家に遊びに行くのが好きだった。夜に祖父と母と妹と私で散歩に行くことがその理由だ。散歩をしながらしりとりをしたり、その場で思いついた話をしたり、他愛のない話をたくさんした。祖父の家は田舎だからか、夜の星々は輝いて、空気も澄んでいて気持ちがよかった。心が洗われる感じとはこういうことかも。と、幼いながらもその時感じていた。

 

恩田陸さんの『夜のピクニック』を読んだ。10代に読んでいたらきっと宝物になったであろう、素敵な青春小説だった。この歳になって読むと多少の気恥ずかしさは感じるけど、高校生の頃の甘酸っぱい感じを少し懐かしく思えた。この物語の主人公たちは、年に一度行われる『歩行祭』という集団歩行(夜間込みの一日)の場で、一人一人の心情が変化していく。それをもたらすのは、夜という時間に生徒がまだ一緒にいるという特殊性と、同じ目標に向かって歩くという同一性からかもしれない。もしかしたら、歩くという運動がそれに拍車をかけているのかもしれない。

 

今まで謎だった部分や、各々が気にしていた他者の思いを知るときに、それぞれの感情に変化が訪れる。そんな瞬間をこの本ではいくつも体験できた。読んでいて、いいな。もっと続けばいいのにな。そう思わず感じてしまった。

 

私にはこうした語らいのできる人はいないけど。今からでも遅くはないのかもしれないな。たまには夜に散歩でもして帰ろ。

 

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)